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栄村の人々 スチール編

山田和幸さん 和山地区 木鉢作り

マタギが見つけた秘湯

栄村・秋山郷には5つの集落があり、和山地区はそのひとつ。和山地区には古くから温泉が沸き、江戸期の文人・鈴木牧之(すずきぼくし)がマタギを見つけた秘湯として秋山紀行内で紹介している。切明、屋敷などと並ぶ湯郷の一角をなす。山田さんはそこの民宿の主人である。

山田和幸さん-写真2

いろんな顔

秋山郷の人々は昔から豪雪に生きる暮らしの知恵を今に活かす。それ故に、多くの技を持つ人が多い。山田さんは、自らの民宿で自前の木鉢による渾身の蕎麦を打つ。オヤマボクチを練り込み独特な食感と生粉を打つ技は蕎麦通を唸らせると有名だ。また、秋山郷の雪解けは遅くだいたい4月終わり頃から山に入る。山々のどこに何が生えるかを熟知し秋山郷で山菜を採る山名人のひとりでもある。

まだまだ続く、山田さんは渓流の漁師でもある。秋山郷を訪れる渓流ファンの釣行を案内する。中津川に注ぐ深い峡谷の川を伝承の手作り毛鉤で竿を振る。岩魚の肌の色を見るだけでどこの支流か判るという。

山田和幸さん-写真3

最後の継承者

これらの職人の顔を持つ山田さんは、もうひとつ栄村・秋山郷に古くから伝わる栃の一本木から削り出す木鉢=こね鉢づくりの最後の継承者のひとりである。

自宅向かいの作業小屋からは時期になると樹齢100年を超える栃の古木を乾かす薪火の煙がのぼり、何種類もの手斧や刃物を使い分けて山田さんが手技で削り彫る音が響いてくる。大人が両手で抱えても持てないほどの大きさから、小振りなものまでこね鉢が白くきれいに並んでいる様は壮観だ。

山田和幸さん-写真4

全国から

秋山郷では昔のように栃の古木を入手することが出来ず、継承者も殆どいなくなってきた。秋山木鉢として全国の料理人が山田さんが作るこね鉢を求めて注文が来る。なかなか手に入らないものなので、代々に渡って使われた木鉢は今も人から人へ使い継がれており、秋山木鉢に代わる鉢はなかなか無いという。「あんぼ」や「はやそば」などの秋山郷の食の知恵が生んだ伝統工芸品として山田さんは今も守っている。

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(お問い合わせ)栄村役場商工観光課
〒389-2702 長野県下水内郡栄村大字北信2903
TEL:0269-87-3333 FAX:0269-87-2280 (秋山郷に関するお問合せ TEL:025-767-2202)