福原孝平さん 小赤沢地区 山菜名人
秋山郷に暮らす、山菜の達人
ヒラタケ、モトアシ、ムキタケ、タモギタケ、クリタケ、村で採れるキノコの種類の一部だ。キノコや山菜を共同して採集、加工、出荷をする「山菜組合」という生産組織が栄村にはいくつかあり重要な産業のひとつ。その中で秋山郷の組合長を務めるのが福原孝平さん(83才)である。
毎年、山が雪解けする5月下旬から雪がちらつく12月上旬までの半年間、豊かな秋山郷で採れる山菜やきのこを世に送り出す「山菜の達人」。女衆(地域の女性の方々)や若い衆(地域の若手)と協力して、春は山菜、秋はキノコを組合に集め加工し出荷をしている。
山菜を仕事にする
孝平さんはかれこれ半世紀近く山菜の仕事をしている。当初は国有林を管理する営林署との折衝から始まったそうで、野ブキの収穫にあたり肥料の試行錯誤の日々。そして、未舗装の山深い道の土砂崩れなど、幾多の苦労を重ねながら、最盛期には35~40トンを採取するまでになった。
常連さんに愛されて
そんな秋山郷山菜組合には常連のお客さんが多く、一灯缶単位でキノコの塩漬け丸ごとを年末の挨拶品として何十缶を買ってくれる常連のお得意様がいるという。
去年、今年はキノコがさっぱり採れなかったそうで量が揃わずつらい思いをした福原さん。常連さんのことを大事にする思いは、山菜・キノコを通じて地元の秋山郷を思う気持ちと同じだと話す。
ゆっくり待つ、芽吹きの春
出荷時期が終わるとゆっくり春を待ちながら家のことをやったりして長い冬を過ごす。来年は沢山キノコが出ることを祈りつつ、最近は街からやって来た意欲ある若い衆に根気強く、加工や出荷の仕事を教えることもしている。
いろいろ心配はあるそうだが、これからも秋山郷の山菜とキノコを守り続けるとの孝平さんの想いは、次代の芽吹きとなる。